水車小屋のネネ
津村記久子,2023,水車小屋のネネ,毎日新聞出版.(5.18.24)水車小屋のネネ 津村記久子毎日新聞出版日頃、毒々しい内容の小説ばかり読んでいるせいか、ハートウォーミングな群像小説である本作品がよけいにこころに染み入った。母親に短大進学費用を使い込まれ、母親が新たに付き合い始めた男に虐待される妹の律をかばって、親元を逃げ出し、そば屋に住み込みで働く理佐。1981年から2021年までの40年間、どこにも居場所がなかった姉妹は、さまざまな人々と関わり合い、しっかりと地域社会に根をはっていく。そして、それぞれの生きづらさをかかえた若者たちが、姉妹と関わり合い、根を下ろせる場所と生きる意味とを見出していく。そばの実を挽く水車小屋に住みつくヨウム、ネネが、人と人との関係性をつないでいく。ネネを介してつながってい...水車小屋のネネ